応化会案内



2010年度総会 会長挨拶

応用化学会・会長 河村 宏

私共の体制は、里見会長体制を引き継いで本総会の時をもって1期、2年開経過いたしました。
この間、我が応用化学科においては竜田邦明教授が藤原賞、日本学士院賞を、逢坂哲彌教授が文部科学大臣賞に次いで、この度、紫綬褒章を受章されました。
学外では岡野光夫東京女子医科大学教授が紫綬褒章に次いで文部科学大臣賞、昨秋には今回ご講演頂く木村茂行氏が瑞宝中綬章を、今春は、宇佐美昭次名誉教授が瑞宝中綬章、等々の輝かしい褒章を授章されました。
その他の教授の方々においても各々の学会で確たる業績をあげておられ、我々会員一同としても大変誇りに思う次第であります。

応用化学会としては里見体制下で築かれた活性化活動、強固な財政基盤を守る一方、資金の効率的運用を基本にしながら各委員会は活発な活動を行いました。
交流委員会は、既定路線に沿った年3回の講演会は、更に内容も充実し、参加者も年々増加、昨今では毎回100名を大幅に上回る参加者になっています。
企業ガイダンスについては40社を超える企業からの協賛を得て就職活動に入る学生への支援として各社の応用化学科OBも参画した"先輩からのメッセージ"というフォーラムを開催しました。2007年以来3回目になりました。
また、進路決定のアドバイスの観点から、様々な業界の応用化学科卒業生の協力を得て"企業が求める人材像"をテーマにしたフォーラムも開催しました。これらの活動は、進路を決める学生諸君への良いアドバイスになったと思います。

広報委員会の活動は、会報の充実、ホームページの充実については皆様ご案内のとおりであります。
頻繁な記事のリニューアルが行われており、ホームページの新鮮さは十分に保たれていると思います。アクセスも大幅に増加しております。特筆すべきは、その経費の劇的な改善であります。立ち上げ当初に比して年間経費は、3分の1以下に軽減されました。相馬委員長はじめ関係者のご努力に謝意を表します。

基盤委員会が主導する評議員会の充実は、応用化学会活動状況を伝達し、会員の総意を汲み上げる重要課題であり、毎年開催される評議員会が盛り上がりを見せております。関西支部、中部支部の活性化とともに会費納入率の向上にも大きく寄与していると思います。

皆様のご協力を頂きました応用化学会給付奨学金は、本日現在基金総額2,400万円になりました。
この中には応用化学会予算からの拠出分100万円も含まれています。奨学金給付は、2005年以来6年間で延べ20名、給付総額は、1,000万円となりました。後ほど懇親会で今年度受賞者をご紹介しますが、2010年度は、3名に決まりました。

応用化学会活動の継続性と効果的、効率的資金の使い道について平林副会長を中心とする委員会を組織して検討をいたしました。また、教員各位との対話、学生委員との意見交換を踏まえて、役員会での討議を重ねてまいりました。

我々応用化学会の活動は、"手前味噌"で恐縮ですが、理工学部内は勿論、全大学としても例のないものであり、突出した活動であることは、大学本部も認めるところであります。
課題は、"継続性"であります。しかし、会費の納入状況をご覧になってお解かり頂けるように60歳代以上の会員の高い会費納入率に比べて若い世代に向かうほど納入率は低下して行きます。会員の忙しさ等々に起因すると思われますが、関心度、帰属意識の薄さは否めないと思われます。
その時期、その年齢になればという期待もありますが、何らかの対策をとらずに漫然と時を待つという訳にはいきません。
評議員会の充実、応用化学会独自のホームカミング等々の方索はとっておりますが、成果を挙げるに至っておりません。

そこで先ずは学生諸君の応用化学会への帰属意識を高める施策をとることにいたしまいた。どんな施策をとっても決定的な対策にはなり得ないのですが、根気よく様々な施策を繰り返しながら方向性を見極めて参ります。
2010年度予算では新しい試みとして次の施策を予算に組み込むことにいたしました。

  1. 応用化学科の学生の縦の交流会を支援します(B1〜M2〜D3)
    現在学部生は、各学年150名、修士課程各学年約100名合計800名前後の集団ですから各学年すら名前も顔も知らずに卒業してゆくのが実態です。縦横少しでも知己を増やしたいという学生自らが提案してきた案件であります(年2回)
  2. 日帰りではありますが、久し振りに工場見学会を復活する計画であります。
    同学年内交流の一助にもなると思われます。OBによる受け入れ態勢の整備、バスのアレンジ等応用化学会の支援で行います。
  3. 卒業後10年前後までの若手OBが交流会を実施したいとの提案がありました。
    どのような形式かは検討中ではありますが、費用を予算に組み込みました。

これまでの活動は、学外理事を中心として各委員会で"ボランティアの有志"を集い、事業の支援をしてまいりました。元気な方々が参加してはいますが、平均年齢は、68歳であります。ボランティアの有志に過度に事務手続きを依存することには無理が出て参りました。会としては自立のためにも事務局体制を再構築することにしました。

活性化活動も6年を経過して、定着してまいりましたが、我々に課せられた任務はこれを如何に平常化して、活動を次世代にスムーズにバトンリレーするかという課題であります。
本総会において私を会長としてご承認いただければ(*注)、お手元の資料記載の学部内外の理事とともにこの"transit"をやり遂げる所存であります。
私共、このボランティア集団の志は、体力の残っているうちに母校に対する報恩と次世 代に対する個々人の持つ経験や生き様を伝えたいという願望であります。そのことがどれだけ意義のあることかはわかりません。しかし、活動を始めて6年、少なくとも私共同志にとって活動が生きがいのようなものの一つとなっています。そして、そのことを伝える場として応用化学会を次世代にしっかりと引き渡ししたいと願っております。

趣旨にご賛同頂き、活動に参画頂ける同志が一人でも増えますことを切望しております。
皆様のますますのご理解とご協力をお願い申しあげます。

(*注)定期総会で承認されました。
以上

→ 応用化学科教授・応用化学会副会長 菊地英一氏メッセージ「応化会の魅力」